麻雀番組視聴録

麻雀番組Mリーグ,RTDリーグの事など

強打

 チーム制の麻雀リーグ、大和証券Mリーグが2018/10/1に開幕した。

 

 様々な点でこれまでと異なるリーグ戦であるが、細かいところで画期的な点としてこれまでの競技麻雀ではご法度とされていながら明確な罰則規定が無かった、あるいは適用されていなかった”強打”が「第9条 4. 強打は禁止としないが、度重なる場合は罰則対象になることがある。」と許可された事が挙げられる。いわゆる「気持ち」の乗った打牌を認めることで視聴者に楽しんでもらおうということだろう。ただ、下手すると暴力的な印象を与えかねない”強打”に拒絶反応を示す方も多い。この条項を盛り込むことに、おそらくMリーグの運営サイドは大変悩み、今尚、不安を抱えていることだろう。

 

 さて、Mリーグの”強打”という話題で中心となっているのは、俳優でもある萩原pであるが、10/2のドリブンズ X 風林火山 X KONAMI X Abemasの第1試合で風林火山・滝沢pに印象深い1打が有った。

 

 ラス目で親番も落ちた南3局、松本pのリーチを受けて以下の手牌。

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 タンピン三色でハネ満ツモ3000-6000でトップの佐々木に迫れる可能性も有る一向聴。リーチを受けて、滝沢pは2ソー,2ピンの受けは無くなるものの、一向聴を維持する松本pの現物の打2ピンとする。強気に打5pも有るが、まあ、なんてこともないように見える一打。

 

 危険でもなければ聴牌でもないこの2ピン、滝沢pは通常とは違う打牌フォームで確かに”強打”していたと思う。”強打”というにはあまりに真っ直ぐ、澄んだ音をしていたが。

 

 しかし、この滝沢pというプレイヤー、むしろ”強打しない雀士”の代表と言ってもいいと思う。なぜ、リーチを受けたとはいえ、現物の2ピンを打つのに強打したのだろうか?見返してみると7順目のやはり素人目にはなんでもない西を打つ際にも、若干の、そして心地のいい”強打”をしていた。

 

 打たれた牌自体は両方ともなんてことのない牌だが、手牌を見てみると、打西の時は安全牌を抱えず手牌を中張牌で目一杯にする打牌であった。打2ピンは受けは狭くしたとはいえ、ハネ満ツモも見える手牌、やはりこの先に危険牌を引いても押す手だろう。つまり、この2つの打牌において滝沢pは「この手は押すぞ」という意思があったように思う。

 

 滝沢pはこの数年は結果が出せておらず、ドラフト時にも選ばれないだろうと21名の中で唯一欠席していた。実力が足りていないかもしれない自分が最高峰の1つであるMリーグでどのような麻雀を打つべきか、選手それぞれ大なり小なり思い悩んでいるだろうが、滝沢pは最も苦しんでいる選手かもしれない。

 

 そんな滝沢pの意外な”強打”は、不安を抱えながら「パフォーマンスとして”気持ち”を込めた”強打” を認める」としたMリーグに対する、「認めて頂けるなら、自分は”強打”に”意思”を込めます」という滝沢pなりの回答であったように思う。

 

 もちろん、筆者にとって心地よかったからといって無辜の視聴者を威圧しかねない”強打”を肯定することにはならない。勝ちに徹する事が麻雀プロのあるべきだ姿という人には、手牌がバレかねない打牌に”意思”を込めるなんて行為は愚かとしか言いようがないだろう。そもそも、滝沢pはただ何となく”強打”しただけという方が実際だろう。

 

 それでも尚、この一打を視て聴く事が出来ただけでも、3時間に及ぶ放送を視聴して良かったと、ただ純粋にそう思った。

 

以上